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『夜を乗り越える』又吉直樹/又吉直樹さんのエッセイを読んで、本への向き合い方を考えてみた


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又吉直樹さん著「夜を乗り越える」を読了しましたので書評を書きます。

 

※書評記事の構成
きっかけ:この本を読もうと思ったきっかけ
あらすじ:Amazonさんによるあらすじ
かんがえ:読んで考えたこと

 

<目次>

 

きっかけ

書店で見かけて、タイトルに引かれました。「夜を乗り越える」という小説のようなタイトル。又吉さんがまた小説を出されたのかと思いましたが、小説ではありませんでした。すこし読んでみると、読みやすい文体が印象的でした。自分も真似したいと思いました。

最近、僕は小説を読んでいません。芥川賞作家がどんなきっかけで、純文学を読むようになり、書くようになったか興味が湧きました。

あらすじ

芸人で、芥川賞作家の又吉直樹が、少年期からこれまで読んできた数々の小説を通して、「なぜ本を読むのか」「文学の何がおもしろいのか」「人間とは何か」を考える。また、大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『火花』の創作秘話を初公開するとともに、自らの著作についてそれぞれの想いを明かしていく。「負のキャラクター」を演じ続けていた少年が、文学に出会い、助けられ、いかに様々な夜を乗り越え生きてきたかを顧みる、著者初の新書。

 

かんがえ

本を読む理由は人それぞれです。又吉さんの本への向き合い方を僕なりに解釈しました。僕の本への向き合い方を見直すきっかけになりました。

本に求めるもの。「答え」か「視点」か

当時僕が本に求めていたのは、自身の葛藤や、内面のどうしようもない感情をどう消化していくかということでした。近代文学は、こんなことを思っているのは俺だけだという気持ちを次々と砕いていってくれました。

(中略)

もちろん、そこから強引に自分の答えを探すような読み方はしませんが、あらゆる小説に触れることによって、視点を増やすことができました。

本に求めていることは、僕も又吉さんと似たようでいて、全く違いました。僕が本に求めていたことは、「抱えている悩みの答え、解決方法」でした。

大学生になったころから小説を読まなくなり、自己啓発本やビジネス書ばかりを読むようになりました。自己啓発本は悩みに対する答えが明確に書かれています。答えだけでなく、具体的な方法論までも。読むと「これが俺が求めていた答えだ!」と気分爽快になる。最初は気分が良くても、しばらくして上手くいかなくなる。その方法論を実践できなくて「やっぱりダメだった・・・」となる。また悩みを抱えて新たな自己啓発本を読む。この繰り返しでした。その結果、僕は自分の意見を持つことが怖くなってしまいました。誰かに答えを出してもらわないと、不安になってしまう体質になってしまいました。

上記引用にもありますが、又吉さんは「強引に自分の答えを探すような読み方はしない」を述べています。「小説に触れることによって、視点を増やすことができる」とも。僕は自己啓発本を読み続けた結果、答えをストレートに求めるようになりました。又吉さんは小説を読み続けた結果、視点を増やすようになりました。

僕にとって小説は、フィクションであり、物語を「遠くから」見て楽しむものでした。登場人物の葛藤や感情は、つくりもの。登場人物は架空の人物。自分とはなんの関わりもない異世界の住人。現実世界と切り離してとらえていました。現実にはありえないし・・と、ある意味冷ややかな目で見ていました。

そんな僕にとって、又吉さんの感覚はまさに「新たな視点」を増やしてくれました。

小説は心の内面が描かれるからおもしろい!

自分の感覚にはまるものがおもしろい、それ以外はおもしろくないというように読んでいくと、読書本来のおもしろさは半減してしまうと思います。読書のおもしろいところは、主人公が自分とは違う選択をすることを経験できることや、今まで自分が信じて疑わなかったようなことが、本の中で批判されたり否定されたりすることがあると思います。

言い換えれば読書によって今までなかった視点が自分の中に増えるということです。

 小説と現実世界を完全に切り離していた僕にとって、小説の登場人物に共感することはほとんどありませんでした。しかし又吉さんは、共感だけでなく、自分が信じていた感覚と異なる感情すらを小説から取り込んでいるようです。

自己啓発本に毒されて(言い方悪いですが。。。)いると、その答えが100%正しい!と思い込んでしまいます。そして、その答え、ノウハウとも言い換えられますが、を実践できなかった自分はなんて情けない奴だと自分を責めます。これは本当に辛いです。

小説は、登場人物の内面を描きます。100%正しいことなんて絶対に存在しない。それでも葛藤し、もがきながら行動する。失敗も成功もする。小説と向き合えると、「ああ、こんな考えもあるんだ」「自分はこれでいいんだ」と考えられる。たとえフィクションであっても、自分の救いになる。そんな気がしています。

 

かんそう

久しく小説を読んでいませんでしたが、これをきっかけに小説を読んでいます。高校の教科書に載っていた夏目漱石の「こころ」です。高校卒業して10年以上経っているので感性が変わったように思います。又吉さんの本を読んでからだとなおさら・・・です。

本との向き合い方は十人十色ですが、本は知識やノウハウを得るためだけのものじゃないと改めて思いました。特に自己啓発本に疲れた人は、本書をお勧めします。

お読みいただき、ありがとうございました。